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株式会社東馬

2018/11/12

デザインから製造まで!今までにないものを。

物を作るためにはまず何を作るか考えるところから。株式会社東馬では製品のアイデア出しから製造まで、一貫して行っている。

図面作成から製造、販売まで

 株式会社東馬は、神埼市千代田町に本社・工場をもつ家具の企画・制作・販売を主な事業とするメーカーだ。同社の強みはメーカーでありながら図面作りから製造更には商品を用いた空間デザインの提案までを行っていること。通常メーカーであれば、社外のデザイナーが作成した図面に従い木材の加工を行い、商品のディスプレイは小売店に任せることが多いが、株式会社東馬では社員自ら海外を含めて広く情報収集を行い、デザイン、図面作成から製造、展示会まで行っているところが特徴だ。

 また、商品のパンフレットも作成しておりキャッチコピーの考案や撮影も自前で行う。キャッチコピーを作る際には「その言葉を見ただけで商品のことが分かるようにしている」 と笑顔で話してくれたのは、プロモーション部の有働円香さん。図面作り、3Dモデル、撮影、キャッチコピーのこの流れはデザイン部の人がしていることもありここまで来ると本当に「スーパーマン」だ。

展示会は答え合わせの場

 デザイン、図面ができたものはまずサンプル作りをする。そのサンプルは展示会にも出し、お客様の嗜好と合っているかの答え合わせになるという。BtoBで事業を展開する株式会社東馬にとって、全国の家具百貨店ホームセンターが主なお客様だ。そのため、展示会に出すときはプロモーションビデオを作り、リビングをイメージした部屋を展示会のテーマに合わせて家具の配置や飾り付けを施し、リビングのレイアウト丸ごと提案できるようにしている。その他、3Dモデルを作成しているのも、お客様の理解が進み、店頭でスムーズに商品説明が行えるためのもの。1つひとつの作業が「お客様のために」あるのだ。

様々なバックグラウンドをもったメンバーで

 有働さんは、大学の時にデザインの道に進み、雑誌に掲載された椅子の美しさに惹かれ家具関係の仕事を志した。現在は商品のデザインを担当している。やりがいを感じるのは安くていいデザインを考えているとき。また、見た目だけではなく、資源や効率の良さ、お客様が扱いやすいものを考えてデザインしているとき。将来の目標はDIYが広まっている世の中で、カラーボックスやすのこDIYで十分だと思っているお客様にお値打ちでほしいと思ってくれる家具をつくることだ。

 前職ではラーメン店のチェーン展開に携わっていたという経営企画部長の渡邊拡朗さん。当時培ったスキルは現在の業務でも大いに活きているそう。例えば、会社の強みを理解した上で、それを活かせるシナジー効果のある企画立案をすること、会社の風土に合った人材の採用と採用ルートの確立や教育、交渉事や修繕、契約ごとや問題解決を要する場面など。

 香月正樹さんは知り合い声かけをきっかけに入社をした。現在は企画を担当している。定期的に海外にも出張し、素材や工法、海外のトレンドについての情報収集を行っている。まだ日本にない情報にいち早く接することができるよう、常にアンテナを高く張るよう努めている。

時代の変化と対応、そして新しいスタイルの提案

 社員の平均年齢は36.3歳と若く、様々なバックグラウンドを持つ方々が集まっている。ショールームだけでなく社内はハイセンスな家具たちに囲まれ、わいわいと賑やかに企画会議をする声が聞こえる。社員の方々が「チャレンジを後押ししてくれる職場」と口を揃えるのも納得だ。

 かつて嫁入り道具とされていた家具は時代とともにその役割を変え、海外で大量生産された安価な家具が店頭に並ぶようになった。江戸時代から続く家具のまち諸富は、そうした時代の中で徐々に賑わいを失っていった経緯がある。株式会社東馬のルーツもまた諸富だ。

 しかし「市場調査をすることによって時代の流れを見ている」と香月さんが話すように、家具産業以外のトレンド、それぞれの地域における暮らし方など、幅広い情報を集約することで、時代の変化に対応するだけでなく、新しい生活スタイルの提案が可能になる。

 チャレンジしやすい自由闊達な社風、そして新商品の企画・デザイン、製造、プロモーションまでを一貫して自社で行う強みがここで活きてくるのだ。

サガストEyes 「懐かしい空間 ” UPーTOWN ” 」

 2014年5月、株式会社東馬に新たなブランドが誕生した。アメリカの下町であるブルックリンをイメージした、その名も「UP TOWN」。現地では俗に、“喧騒とかけ離れた”という意味として用いられている。

 このブランドのコンセプトは3つ。「HEAVY & THICK」、家具にある重厚感を見て触って感じれるものであること。「OLD WOOD」、古材の魅力を会社員の手で引き出すこと、そしてそのこと自体が最大の環境保全であること。「ACCENT」、毎日の暮らしに溶け込み、存在感のある品ぞろえであること。

 大切にしているのは、「空間」というものが、今だけではなく、そこに昔から存在し今に続いているという視点。その言葉のとおり、古材やブリキの懐かしさと下町ならではの「粋」がミックスした、味わいのあるラインナップだ。このブランド名は部署名にもなっており、昔ながらの良さとトレンドを共存させたい、という思いがこめられている。

取材後記  「モノ」を作るということ

 デザインから製造、そして発送まで。お話を聞いているとすべてのことを会社でしていること、その工程ひとつひとつが誰かの生活の役に立つためのものだということが分かりました。いいものを作るにはこのように相手のことも考えることが大事だとわかりました。

 会社からの指示で作るのではなく自分たちで考えて作り、展示会、そして展示会で学んだことを次のデザインに活かす、これを繰り返すことで「今までにないもの」を生み出しているんだと感じました。生活の中で使いたくなるデザインはもちろんのことその先のお客様の未来でも考えて作っていらっしゃいました。

 家具の未来だけではなくお客様の未来を考えていると感じました。私もデザイン関係のことを学んでいたのですが自分の想像を超えることばかりでとても貴重な体験をすることができました。

(西九州大学 健康栄養学部健康栄養学科1年 森 唯華)

会社概要

「他にはないもの」をめざして

 大正10年創業、テレビボードやソファなどの家具の製造・輸入・卸販売を主な事業としているインテリアメーカー。「おしゃれな家具で人々の暮らしをより豊かに導き続ける」をコンセプトに、シンプルでひと手間加えた、他にない家具を提供し続けている。

 メーカーでありながら家具のデザイン、図面づくり、製造、販売までを行っていることが特徴。家具は社屋の裏にある工場と中国と台湾を中心とした海外の工場で製造しており、切る・つなぐ・組み立てるといった工程を1つひとつスタッフが手作業でおこなっている。3Sという「整理・整頓・清掃」にも取り組んでおり「安全・快適な職場を作る」ことと「能率的な職場を作る」ことを目標として製造している。

 自社において展示会を開催し、家具作りだけでなく店舗におけるレイアウトの提案にもこだわりを持ち、パンフレットなどの販促ツールも自社で制作している。

デザインから製造まで!今までにないものを。

 物を作るためにはまず何を作るか考えるところから。株式会社東馬では製品のアイデア出しから製造まで、一貫して行っている。

図面作成から製造、販売まで

 株式会社東馬は、神埼市千代田町に本社・工場をもつ家具の企画・制作・販売を主な事業とするメーカーだ。同社の強みはメーカーでありながら図面作りから製造更には商品を用いた空間デザインの提案までを行っていること。通常メーカーであれば、社外のデザイナーが作成した図面に従い木材の加工を行い、商品のディスプレイは小売店に任せることが多いが、株式会社東馬では社員自ら海外を含めて広く情報収集を行い、デザイン、図面作成から製造、展示会まで行っているところが特徴だ。

 また、商品のパンフレットも作成しておりキャッチコピーの考案や撮影も自前で行う。キャッチコピーを作る際には「その言葉を見ただけで商品のことが分かるようにしている」 と笑顔で話してくれたのは、プロモーション部の有働円香さん。図面作り、3Dモデル、撮影、キャッチコピーのこの流れはデザイン部の人がしていることもありここまで来ると本当に「スーパーマン」だ。

展示会は答え合わせの場

 デザイン、図面ができたものはまずサンプル作りをする。そのサンプルは展示会にも出し、お客様の嗜好と合っているかの答え合わせになるという。BtoBで事業を展開する株式会社東馬にとって、全国の家具百貨店ホームセンターが主なお客様だ。そのため、展示会に出すときはプロモーションビデオを作り、リビングをイメージした部屋を展示会のテーマに合わせて家具の配置や飾り付けを施し、リビングのレイアウト丸ごと提案できるようにしている。その他、3Dモデルを作成しているのも、お客様の理解が進み、店頭でスムーズに商品説明が行えるためのもの。1つひとつの作業が「お客様のために」あるのだ。

様々なバックグラウンドをもったメンバーで

 有働さんは、大学の時にデザインの道に進み、雑誌に掲載された椅子の美しさに惹かれ家具関係の仕事を志した。現在は商品のデザインを担当している。やりがいを感じるのは安くていいデザインを考えているとき。また、見た目だけではなく、資源や効率の良さ、お客様が扱いやすいものを考えてデザインしているとき。将来の目標はDIYが広まっている世の中で、カラーボックスやすのこDIYで十分だと思っているお客様にお値打ちでほしいと思ってくれる家具をつくることだ。

 前職ではラーメン店のチェーン展開に携わっていたという経営企画部長の渡邊拡朗さん。当時培ったスキルは現在の業務でも大いに活きているそう。例えば、会社の強みを理解した上で、それを活かせるシナジー効果のある企画立案をすること、会社の風土に合った人材の採用と採用ルートの確立や教育、交渉事や修繕、契約ごとや問題解決を要する場面など。

 香月正樹さんは知り合い声かけをきっかけに入社をした。現在は企画を担当している。定期的に海外にも出張し、素材や工法、海外のトレンドについての情報収集を行っている。まだ日本にない情報にいち早く接することができるよう、常にアンテナを高く張るよう努めている。

時代の変化と対応、そして新しいスタイルの提案

 社員の平均年齢は36.3歳と若く、様々なバックグラウンドを持つ方々が集まっている。ショールームだけでなく社内はハイセンスな家具たちに囲まれ、わいわいと賑やかに企画会議をする声が聞こえる。社員の方々が「チャレンジを後押ししてくれる職場」と口を揃えるのも納得だ。

 かつて嫁入り道具とされていた家具は時代とともにその役割を変え、海外で大量生産された安価な家具が店頭に並ぶようになった。江戸時代から続く家具のまち諸富は、そうした時代の中で徐々に賑わいを失っていった経緯がある。株式会社東馬のルーツもまた諸富だ。

 しかし「市場調査をすることによって時代の流れを見ている」と香月さんが話すように、家具産業以外のトレンド、それぞれの地域における暮らし方など、幅広い情報を集約することで、時代の変化に対応するだけでなく、新しい生活スタイルの提案が可能になる。

 チャレンジしやすい自由闊達な社風、そして新商品の企画・デザイン、製造、プロモーションまでを一貫して自社で行う強みがここで活きてくるのだ。

サガストEyes 「懐かしい空間 ” UPーTOWN ” 」

 2014年5月、株式会社東馬に新たなブランドが誕生した。アメリカの下町であるブルックリンをイメージした、その名も「UP TOWN」。現地では俗に、“喧騒とかけ離れた”という意味として用いられている。

 このブランドのコンセプトは3つ。「HEAVY & THICK」、家具にある重厚感を見て触って感じれるものであること。「OLD WOOD」、古材の魅力を会社員の手で引き出すこと、そしてそのこと自体が最大の環境保全であること。「ACCENT」、毎日の暮らしに溶け込み、存在感のある品ぞろえであること。

 大切にしているのは、「空間」というものが、今だけではなく、そこに昔から存在し今に続いているという視点。その言葉のとおり、古材やブリキの懐かしさと下町ならではの「粋」がミックスした、味わいのあるラインナップだ。このブランド名は部署名にもなっており、昔ながらの良さとトレンドを共存させたい、という思いがこめられている。

取材後記  「モノ」を作るということ

 デザインから製造、そして発送まで。お話を聞いているとすべてのことを会社でしていること、その工程ひとつひとつが誰かの生活の役に立つためのものだということが分かりました。いいものを作るにはこのように相手のことも考えることが大事だとわかりました。

 会社からの指示で作るのではなく自分たちで考えて作り、展示会、そして展示会で学んだことを次のデザインに活かす、これを繰り返すことで「今までにないもの」を生み出しているんだと感じました。生活の中で使いたくなるデザインはもちろんのことその先のお客様の未来でも考えて作っていらっしゃいました。

 家具の未来だけではなくお客様の未来を考えていると感じました。私もデザイン関係のことを学んでいたのですが自分の想像を超えることばかりでとても貴重な体験をすることができました。

(西九州大学 健康栄養学部健康栄養学科1年 森 唯華)

会社概要

「他にはないもの」をめざして

 大正10年創業、テレビボードやソファなどの家具の製造・輸入・卸販売を主な事業としているインテリアメーカー。「おしゃれな家具で人々の暮らしをより豊かに導き続ける」をコンセプトに、シンプルでひと手間加えた、他にない家具を提供し続けている。

 メーカーでありながら家具のデザイン、図面づくり、製造、販売までを行っていることが特徴。家具は社屋の裏にある工場と中国と台湾を中心とした海外の工場で製造しており、切る・つなぐ・組み立てるといった工程を1つひとつスタッフが手作業でおこなっている。3Sという「整理・整頓・清掃」にも取り組んでおり「安全・快適な職場を作る」ことと「能率的な職場を作る」ことを目標として製造している。

 自社において展示会を開催し、家具作りだけでなく店舗におけるレイアウトの提案にもこだわりを持ち、パンフレットなどの販促ツールも自社で制作している。

 
事業者名 株式会社東馬
代表者 東島 眞介
電話番号 0922-44-5888
本社所在地 佐賀県神埼市千代田町直鳥1738番地

ホームページ

http://tohma.net/

社会福祉法人天寿会

2019/03/07

天寿会流の「働き方改革」で利用者・職員・経営すべてのハッピーを

 介護業界の現場は少子高齢化によりますます過酷さが増している―――そんなイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし、天寿会ではこうした時代の流れにただ翻弄されるのではなく、自社ならではの取り組みにより環境改善を図る。その取り組みの背景とキーパーソンの姿を追った。

天寿会流の働き方改革

 特別養護老人ホームやケアハウス、グループホームなど10施設を佐賀県内と福岡市に構える社会福祉法人天寿会。入居施設は天寿荘のほか、福岡市に梅光園、佐賀県玄海町の玄海園の3つの特別養護老人ホームと、福岡市と多久市に有料老人ホーム、その他老人保健施設、ケアハウス、グループホームを経営している。

 天寿会では5K(危険、汚い、きつい、暗い、臭い)等ともいわれる介護職の現場において、IT機器やマシンの活用、そして「職員研究発表会」などによる意見交換などにより独自の働き方改革を実施している。事務局長の武富さんが天寿荘の一員となったのは設立5年目のこと。大学時代は幼児教育を学んだものの当時の求人数は少なく、親戚を通じて紹介されたのがご縁となった。それまでほとんど接点がなかった高齢者福祉について、勤務と介護の勉強を両立させ介護福祉士(国家資格)を取得。現場を10年経験した後、法人本部や24時間体制のホームヘルパーサービスの主任としてマネジメント業務に従事した。

現場の声に向き合う

 武富さんにとって大きなチャレンジとなったのは福岡市中央区に特別養護老人ホーム(全室個室ユニット型)「梅光園」を新設が決まったときだ。施設長として武富さんは、慣れないながらも周辺地域のリサーチや建設業者との打ち合わせを行い、利用者を迎え入れることになった。

 梅光園は、居室も広くクリニックが併設されるなどのサービス・設備を充実させた施設で、主に富裕層をターゲットとして設立された。しかしそれゆえに利用者からは佐賀で経験のなかったような多くの要望が寄せられ、戸惑うことも多かったという。そこで武富さんは利用者及びその家族にアンケート調査を行い、その結果を家族会で包み隠さず公開することにした。そして施設として対応できるものとそうでないものを丁寧に説明したことで、理解が得られコミュニケーションが円滑に行えるようになった。

 入職以来、現場からマネジメント、新施設の管理など様々な役職を経験した武富さん。地域や利用者のニーズに対応しながら変化する組織に柔軟に対応してきた。現在も引き続き、職場環境の改善に力を入れる。佐賀県内及び福岡市内の施設を巡回すると、ちょっと相談があって…と悩みを打ち明ける職員も少なくない。

 「言いやすいんだと思います。顔が見られたからよかったとそれだけ言って帰る人もいるんです」と武富さんは笑う。どの職場においても生じやすい現場とマネジメント側の意識のずれ。両方の立場を経験した武富さんだからこそ寄り添えるものがある。そして、こうした日々利用者と向き合う現場の声は業務の効率化や社内制度の改善を促すきっかけになる。

 その例として夜間勤務時間帯の改善がある。職員には仮眠時間として4時間が確保されていたものの、職員からは休憩できる時間はほとんどないと寄せられた。利用者も寝静まる夜間帯であるから、業務量は限定的であるはず。そこで、1カ月かけて夜間勤務の時間に実施した業務を記録してもらったところ、次に出勤した人の業務にも取り掛かっておくなど、本来夜間勤務中の業務内容を越えたものが習慣化していたことが分かった。本来あるべき業務の形に戻し、職員の負担を減らしたことで夜間勤務時間の短縮も実現できた。

導入ではなく「活用」

 リフター(写真)の活用にも特徴がある。介護の現場では、利用者を抱えたり支えたりするため腰を痛めてしまう人が多く、そうした負担の軽減を目的としてリフターが開発された。ただ、マシンそのものの誕生はそれほど最近のことではなく、他の施設においても導入事例は多数。しかし、マシンを導入しても、多忙な現場で手数を掛ける煩わしさから、ついそのままの腕で利用者を抱えてしまい、蓄積した負荷がやがて業務に支障をきたすほどになることもある。天寿会では、マシンの活用をマニュアル化し徹底して習慣化させる。そのことが長期的に見ても職員・利用者の双方にとってメリットがあると確信しているからだ。前述の夜間勤務の例からも分かるように、慣例ではなく客観的かつ長期的視点を持って効率化をすることで働きやすさを実現し、利用者のケアに専念できるようになるのだ。

「三方よし」であること

 「働き方改革」という言葉を毎日のように目にする昨今、提示される様々な制度の一方で、これまでの慣例や組織の文化にメスを入れ、大きな改革を求めることは難しい。しかし、目指すビジョンをトップと現場で共有することで、その組織独自の働き方改革は可能になるのではないか。天寿会における指針は、まず利用者の方と職員の幸福度を追求すること、その達成のために、ここで紹介してきたような客観的目線の効率化を引き続き推進していく。そして経営が順調であるためには、新しい事業展開も視野にいれる。少子化による生産年齢人口の減少が確実視されることと、財政難による介護保険の抑制傾向が続くと予測されるからだ。利用者、職員、経営に対するまさに「三方よし」を、これからも天寿会では目指していく。

サガストEyes 「外国人にとっても働きやすい環境へ」

 天寿会では平成21年度に東南アジアから2名のEPA介護福祉士候補者を受け入れた。EPA介護福祉士候補者とは、経済連携協定に基づいて日本の介護施設で就労・研修をしながら、日本の介護福祉士資格の取得を目指す方々のことを指す。

 天寿会でも彼らが長く佐賀の地で働けるように、職員で協力しながら日本語や介護スキルの修得をサポートし、2名とも介護福祉士資格の合格を果たすことができたが、結果として1名は母国に帰国し1名は佐賀を離れてしまった。その理由は単純に介護の仕事が過酷だったとか、佐賀に馴染めなかったといったマイナスなものではない。そこには佐賀で長く仕事をしながら家族で暮らすことを考慮し、最終的には離れることを選択したというものであった。その証に、上述の2名との関係は今でも良好という。

 佐賀県では平成30年度から佐賀県介護老人保健施設協会と佐賀県、西九州大学短期大学部が協力して、日本語や介護スキルの修得の他、住宅のサポートをしながら、定着を目指す取組をスタートさせた。2期目となる今回、天寿会も留学生の受け入れが決定している。

 様々な業界における人材不足を受けて、平成29年度より在留資格「介護」の創設や技能実習生制度がスタートした。政府によって門戸が大きく開かれた一方で、個々の自治体や受け入れ機関の支援体制を懸念する声も多い。佐賀における取り組みは、このような受け入れ態勢の充実を組織的に行うものとして注目されている。

取材後記  「働き方改革」について

介護業界については、高齢化や人材不足など、働く現場がますます過酷になっているイメージが強かったのですが、その負担を軽減すべく様々な取組が行われていることを知れたのは今回の大きな収穫になりました。どの職場においても、習慣化されていて刷新が難しくなっていることはあると思います。企業としての理念が共有され、現状をよりよくしていくために声を出しやすいしくみがあるからこそ、内実を伴った効率化が実現できるのだと思いました。

(西九州大学)

会社概要

利用者・職員・経営すべてのハッピーを

 1978年(昭和53年)佐賀県多久市において特別養護老人ホーム天寿荘を開所。その他福岡市及び佐賀県玄海町に入居型の特別養護老人ホーム(すべて全室個室ユニット型)と、福岡市と多久市に有料老人ホーム、その他老人保健施設、ケアハウス、グループホームを経営する。更に在宅サービスのショートステイ、デイサービス・デイケア、ホームヘルプサービスなども提供している。

 職場環境や利用者に対するサービス向上の取り組みを積極的に実施しており、体系化された職員研修の他、年1回実施される職員研究発表会などでスキルアップを図っている。また、アフガン難民援助の一環として始まった植林プロジェクトを支援する「みどり一本」運動に繋げる「みどり一本バザー」を昭和57年より毎年継続。平成8年には募金金額が一千万円を超え国連難民高等弁務官事務所より5回の感謝状を受けている。

事業者名 社会福祉法人天寿会
代表者 理事長 諸隈正剛
電話番号 0952-74-3100
本社所在地 佐賀県多久市北多久町大字小侍640-1

ホームページ

https://www.tenjyukai.com/

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