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就活探検隊×サガスト

サガ電子工業株式会社

温故創新 古きを知り、学ぶことが、未来の革新へとつながる

古風な雰囲気溢れる木造建築から生み出される「アンテナ」という近代的技術。
一見ミスマッチにも思えるその背景には、沢山の工夫や思いが隠れている。
アンテナ製造会社「サガ電子工業株式会社」。

アンテナは不滅の産業

 スマートフォン、パソコン、テレビなど、電波を送受信するものには全てアンテナが使われている。電波を送受信し、それを電気エネルギーに換えてデータのやりとりをするというアンテナのシステムは、現代社会に根付くものであり、アンテナの需要が無くなるのは、この社会の仕組みを根底から覆すような革命が起きたときである。そういう意味で「アンテナは不滅の産業です」と、サガ電子工業株式会社代表取締役の小柳謙治さんは語る。

 サガ電子工業の代表的な製品である「アローラインアンテナ」は全国のキーステーション(日本の民放放送におけるネットワークの中心である放送局)で使用されており、また他に、電子マネー決済タイプの自動販売機、EMCアンテナ、GPSを利用した動体管理(建設機械等)などにも利用されている。そんなサガ電子工業が、現在アンテナを作る上で重要視していることの一つに製造コストの低下がある。そのコスト低下のための工夫が同社の特徴である木造建築の社屋につながる。

木造社屋へのこだわり

 会社を訪問した際、仕事場を訪れると、製造業の現場のイメージが覆される。非常に温かみのある古民家風の建物で、工場内は木造建築になっていた。実はサガ電子工業の社屋は酒蔵、米蔵、納屋を移築した木造建物なのだ。一体なぜ仕事場としてこのような建物を選んだのか。

「人間の健康のためにもエアコンなどのように人工的な涼しさや暖かさではなく、より自然に近い快適な環境の職場作りを目指している」。

と話す小柳さんには、職場環境に対する強い思いがある。取材を行った日は8月9日。まさに猛暑のまっただ中だったわけだが、確かに涼をとる工夫が沢山施されていた。

 例えば土壁による室内の調温効果であったり、瓦屋根の上のスプリンクラーで打ち水を行っていたり、今では珍しい井戸水をくみ上げて涼風を得る井戸水クーラーを使っていたりと、なるべくエアコンを使わない省エネの姿勢がそこに現れていた。また冬には薪を組み、暖炉で遠赤外線による暖を得ると言う。その効果は自然の涼しさ、暖かさを得られるだけで無く、消費電力量の節約にも影響を与える。消費電力を抑えることが先ほど挙げた製造コストの低下をもたらす。

 現在、商品の価格を抑えるために様々な企業が試行錯誤している。製造コストには材料費、人件費、設備費、光熱費などが含まれる。その中で、サガ電子工業では光熱費の節約を行い、商品の価格低下を実現しているということだ。このようにサガ電子工業の社屋は「自然に近い快適な空間」、「消費電力の節約」を重視した造りになっている。

仕事と遊びの両立

 社員の方にとって、ずばり働く上で、他の会社にはないサガ電子工業の魅力とは何か。社員の方が共通して挙げたのは「休日」に関してだった。サガ電子工業は土日が休みであり、かつ有給がとりやすいそうだ。これは、小柳さんの「仕事だけでなく、遊びも必要である」という理念が関係している。

 また、「職場環境」を挙げる方もいた。温度や湿度の快適さだけでなく、木造建築ならではの落ち着いた空間、スギの香りのリラックス効果により作業に集中できるようだ。社内の人間関係も良好であり、社員同士がお互いに良い距離感で仕事が出来ていると言う。

小柳さんが見ているもの

 小柳さんが取材中に教えてくれたことの一つに、「万象我が師」と言う言葉がある。

「森羅万象全てのことから学ぶべきことがあり、学ぶ姿勢を忘れないようにしています。」

小柳さん自身、仕事の中からだけで無く、余暇時間からも得るものがあるそうだ。

 小柳さんは、1996年に前社長である父親からサガ電子工業を受け継いだ。当時、実は小柳さんはどちらかといえば他をあまり寄せ付けない性格だったという。

 小柳さんが42歳(2008年)の時、がんが見つかる。そこから一種のあきらめに似た感情を覚えたそうだ。ある意味開き直り自分を見直すことで、人を認め、人により感謝する機会が増えた。

 また社長として会社を運営するに当たって重要なことは何か聞いてみた。

「売り上げだけが全てじゃないんです。中身も大事。」

中身というのは商品の品質、不具合や不良品の少なさ、作る過程などを意味している。

「何かキラッと光るものがある。そういう会社作りを目指しています。この会社で働きたいと思う人が増えると嬉しい。」

 さらに「社員の主体性も大事にしています。人間一人ひとりに出来ることと出来ないことがある。相手のことをきちんと受け止めることも必要です」とも話していた。対人関係、特に社員の方とのコミュニケーションにも様々な工夫を用いて気を配っている。

 このように小柳さんが重要視しているのは単に製品の販売だけでは無い。製品を作る上でのバッググラウンドにも着眼点を置いている。

サガストEyes 「エゴグラム診断により社内の人間関係を円滑化」

 元々対人関係は苦手だったという小柳さん。そんな小柳さんががんの発覚とは別に、人間関係に前向きになった具体的な出来事の一つを話してくれた。それは人と電話した際にスピーカー越しに自分の声を聞き、「自分の声に違和感がある。」と思ったときだ。このような経験をされた方は多いのではないだろうか。小柳さんの場合、自身の想像よりぶっきらぼうで暗い声に聞こえたという。これは駄目だと思い、そこから人との接し方を見直し始めた。そんな小柳さんは会社で、人と接する上での工夫をしている。

 皆さんは「エゴグラム診断(MET)」というのを知っているだろうか。簡単に言えば、用意された質問の答え方によりその人がどのような性格なのかをタイプ別に判断するものである。サガ電子工業の社員の方はこの診断を受けている。どのような人かを知ることで、その相手によった配慮、向き不向きなどを考慮できる。これにより小柳さんは社員の方との、また社員の方同士のコミュニケーションを円滑にしている。

取材後記  今回の活動で学べたこと

 私自身、就職というものに関して深く考える機会が少なく、将来に対して多少の不安をかかえていた中で、この活動に参加しました。実際に働いている方々の話を直に聞けたことにより、僕自身の経験値になるだけで無く、何か自分の中にある不安が取り除けた気がしました。それは仕事というものがより身近に感じられるようになったからです。

 また取材という形で人と話すということは私にとって初めてであり、段取り含め取材に関して、自分自身に足りない部分が沢山ありました。しかし初めてのこと、不慣れなことを一つやりきることが出来たのは自分の自信につながりました。今後就職活動の際にこの経験をうまく生かせるようにしたいと思います。

(文責:佐賀大学3年 有友拓海)

会社概要

昔ながらの木造建築で造るアンテナ

 サガ電子工業株式会社は主にアンテナの製造、販売を行う。1970年に創業者である小柳襄治氏が創業開始。1974年、法人化し「サガ電子工業株式会社」となる。1996年、小柳襄治氏の息子である小柳謙治氏が代表取締役に就任する。
サガ電子工業の代表的な製品として「アローラインアンテナ」が挙げられる。「アローライン」と言う名前は「矢のように」電波を飛ばすイメージからきており、現在、東京のキーステーションをはじめ、全国の放送局で使用されている。また他に、サガ電子工業のアンテナは、電子マネー決済タイプの自動販売機、EMCアンテナ、GPSを利用した動体管理(建設機械等)などに利用されている。

 現在の社屋は酒蔵、米蔵、納屋を移築した木造の建物であり、2013年に完成した。建設には地元佐賀の職人、近隣の小学生、パートの方が携わった。またこの建設で新しく使用した木材のほとんどは佐賀県産のスギであり、地産地消の建築物となっている。

事業者名 サガ電子工業株式会社
代表者 小柳 謙治
電話番号 0952-37-8805
本社所在地 佐賀県佐賀市久保泉町下和泉1958-14

ホームページ

http://www.sagant.co.jp/about-us/

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